藤原基央との距離のはかり方
BUMP OF CHICKENというバンドについて語るとき、主観なしにはうまく語れない。好きすぎて何もかもがよく見えてしまうから批評することができない。だから、それを踏まえて今回の記事は読んでもらえると幸いです。
BUMP OF CHICKENと光るリストバンド
近年、ライブにおいてテクノロジーと音楽の融合によって新しい体験を創りだすケースが増えている。MVでも同じことが言えるが、これについては過去記事を参考にしてほしい。
BUMPもそうだ。例えば、映像をAlwaysシリーズの監督である山崎貴に頼み、フルCGでFFのようなものを作ったりしている。また、BUMPの最近のライブでは、光るリストバンドが配られる。今回のスタジアムツアーではPIXMOBと呼ばれていたが、その名前はツアーごとに異なる。しかし、役割は同じで、赤外線で送られた信号により制御され、曲に合わせリストバンドが光るのである。これは観客の一体感を生む装置として紹介されることは多い。
距離が遠くなるスタジムツアー
そんなBUMPにも、スタジアムなど大規模施設でやることが多くなり、問題が一つ出てきた。それは、アーティストとの距離の問題である。スタンドとアリーナに分かれるスタジアムの場合、席によってはアーティストが豆粒ほどにしか見えない。もちろん、対策として大型のディスプレイを用意している場合もあるが、せっかくライブに来ているのだからテレビを見るようなディスプレイではなく、生で見たい。だから、観客の多くは、オペラグラスを使い、野鳥の会さながらにメンバーを見ている。野鳥とは違って、BUMPは4人しかいないのに。
この問題について、BUMPはある解決策を示している。それこそが光るリストバンドである。まず、アリーナの人たちは自分のリストバンドが光り、一体感が得られる。そして、スタンド席はそれにプラスした喜びがある。それは他の人が光るバンドにより作り出される景色を楽しむことができるのである。
BUMPのライブでの演出は、例えば、まずアリーナ席の人のリストバンドが点灯し、次に2階席、3階席のように続く。これをアリーナの人が全てを把握することは難しい。けれども、スタンド席ではその順番につく様子を簡単に見ることができる。
これにより、supernovaで客が振る手の動きが光るホタルのようにきれいに見えるようになったり、天体観測で光るリストバンドが満天の星空のように見えたりする。以下のメンバーの後ろにうつる風景はスタンド席の人とステージのBUMPしか見られない景色である。
STADIUM TOUR 2016 "BFLY"日産スタジアムファイナル終了しました。
ツアーに来てくださった皆様、いつも聴いてくださっているリスナーの皆様。本当にありがとうございました。#BFLY_YOK pic.twitter.com/8xayLZJwVX
これこそがスタンド席が遠くて見えないハズレ席というイメージを変えるような発明ではないか。実際に、今回のスタジアムツアーで初めてスタンド席から見たのだが、こんな風に見えるのかという気持ちで途中感無量だった。
やっぱりバンプとの距離は近い
BUMP OF CHICKENというバンドは常に近いバンドである。藤くんはお腹が空いたとか、幸せだとか、眠いとか、そういう自分が分かることしか歌ってないとかつて何かのインタビューで言っていた。だからこそ共感できるし、今でも多くの世代に愛されるバンドなのだと思う。
ただ、それだけでなく、光るリストバンドの登場により、バンプの楽曲たちとも繋がるモノを、このリストバンドを、僕らは得ることが出来るようになったのだ。つまり、精神的にも物理的にもバンプと観客は繋がることが出来たのである。
だからこそ、僕は思う。こういうステージ演出に関して考えても、いろいろな人々の中で、BUMPは距離をはからなくてもよいような近い存在であり続けると。