サブカル備忘録

映画・アニメ・音楽、全てのカルチャーは処方箋

わかりやすい池上彰のメリット・デメリット

 

分かりやすくニュースを解説するおじさん、こと池上彰

今回の参議院選でも通称池上無双と言われる活躍ぶりを見せている。僕が池上彰の存在を知ったのは小学生の時に見た週刊こどもニュースだ。この番組はこども向きに今起こっているニュースを知らせる内容で、毎週必ず見ていた記憶がある。そこでシリア問題などの国際情勢など難しい話を理解してきた。だから、基本的に池上彰のことは好意的に見ている。しかし、近年の池上無双などのネットの盛り上がりを見ると少し疑問がある。

 

シェフとしての池上彰

池上彰はニュースを分かりやすく伝える能力に長けている。けど、わかりやすくするということには何かを削ぎ落とす必要がある。その料理の仕方が上手いのだ。

確かに、候補者に聞きたいことを聴ける代表者として池上彰を起用して、プロレスを見せる手法は確かにインターネット時代のテレビ向きのコンテンツな気がする。けれども、このプロレスが全てでないことを視聴者は理解する必要があるのではないか。

 

今大ヒットしている佐村河内を被写体としたFAKEという映画がある。この監督である森達也は著書「ドキュメンタリーは嘘をつく」の中で完全な中立や公平なものなどあるわけがないという主旨のことを書いている。必ず作られたものにはその作った人の視点が存在するという話である。だから、ニュースにも主観は存在する。例えば、逃げ惑う子どもたちの映像を見せればそれを攻撃する方が悪者であるし、薄ら笑いを浮かべる中年男性の映像を銃撃戦の背景で流せばそいつが悪者になる。

FAKE ディレクターズ・カット版 [DVD]

FAKE ディレクターズ・カット版 [DVD]

 

 

池上彰から見た世界とのつきあい方

この森達也池上彰の対談の中で池上彰自身もわかりやすくすることへの問題は認識していると話していた。池上彰のわかりやすい解説とは、池上彰から見たニュースをわかりやすくしている。ここで重要なのは「池上彰から見た」という視点だ。どんなものにも視点は存在する。

ニュースや政治、国際情勢への入り口として池上彰の解説はとても素晴らしいと思う。けれどもそれが全てではない。別に池上彰は全知全能ではないのだから。