サブカル備忘録

映画・アニメ・音楽、全てのカルチャーは処方箋

MVとPVの違い

昔はPVと呼ばれ、最近はMVと呼ばれている。プロモーションのためのビデオではなく、Musicのためのビデオに変化してきている。邦楽ロックのMVは映像として面白いものが増えてきた。かつてMVとはアーティストが演奏する映像が流れる、ある種ライブ映像の延長線上にあったと思われる。しかし、最近は多様化している。その幾つかを今回は取り上げる。

 

 

MVとは?

Music Videoの略称であり、楽曲の世界観を表現し、曲への理解を深めるものである。その中で、アートを生業とするアーティストや企業とコラボするものが多くある。主に、その楽曲やアーティストの世界観を保管し、アートとの相乗効果を生み出している。ここでは、andropとamazarashiについて取り上げる。

 

andropのhanaという曲がある。これは花に直接MVの映像を投影しそれをライブで配信するという試みである。これは花が生きている間は映像が配信され続けるが枯れると見れなくなってしまうという儚さをテーマにしたMVである。これはベスト盤が発売されるPRとして作成されたものであるが、単に新しい楽曲を作るよりもandrop初期の曲をアートとのコラボにより再評価することで、今までのandrop、そしてこれからのandropを象徴するものになっている。

androp | Hana

 

また、同じくアート系で言えば、amazarashiのMVもある。楽曲「穴を掘っている」では富士の樹海にプリンターを配置し、「死にたい」というツイートをこのMV撮影時にリアルタイムで検索し、印刷する手法が取られている。樹海というシチュエーションと「死にたい」という言葉、それとamazarashiの歌が相まって強烈な印象を残すMVとなっている。そのせいかは分からないが、amazarashiとyoutubeで検索しても上位に出てくることはない。

www.youtube.com

 

PVとは?

だが、MVにしろPVにしろそんなこの映像達の本来の目的とはなにか。それはアーティストや楽曲の知名度を上げることである。であればさきほどのアート系のようなMV的な側面だけでなく、PVの側面も考える必要がある。

lyrical schoolというアイドルグループがいる。細かい説明の前にまずは下記の動画を見てほしい。(スマホ視聴推奨)

 

vimeo.com

このスマホがジャックされたようなMVは、スマホでの視聴を前提としている。この先数十年後を考えるとスマホが今の画面サイズであるのかもわからないし、このネタも伝わらない可能性が高い。しかし、彼女らは今、バズることに中心をおいた。これにより、爆発的に知名度を挙げた。これは彼女らの知名度がとても高いわけではないからこそ、名前を知ってもらうために今ヒットするような面白いMVを作ったとも考えることができる。

 

MVの批判とその先

さて、ここまでMVとPVに分けて見てきたが最後にMVを語る上で外せない彼の話をしよう。岡崎体育である。

彼のMUSIC VIDEOという曲がある。このMVはMusic Videoあるあるを詰め込んだMVを作りヒットした。この面ではMV的な側面もPV的な側面もある。

しかし、彼が今までのアーティストと異なるのはその徹底ぶりである。5月に行われたワンマンライブ「クソワロタ共和国」。まぁタイトルかなかなかなわけだが、その中でこのMUSIC VIDEOは演奏されなかった。ここまで有名になった曲ならば演奏するのが通常であるが彼は行わなかった。この曲がMVとセットであるからであろう。このMVがなかればこの曲が完成したとは言えない。


岡崎体育 「MUSIC VIDEO」Music Video

 

つまり、岡崎体育はMVなしでは成立しない曲を作った。

これは曲が主体であった音楽というものから、youtubeを基盤とした映像と音楽をセットで楽しむという視聴スタイルの変化に従っている。先のandropやamazarashiはあくまで楽曲の世界観を補完するものだったが、岡崎体育はもうこのMVこそが曲の構成要素の一部になっている。

MVとPVを二つのジャンルとして分けることは出来ないが、どちらの視点にせよこれから音楽を映像で楽しむという視点が強化されるだろう。

 

 

 

 

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