マンガを実写化する方法
森達也の著書で「ドキュメンタリーは嘘をつく」というものがあるが、フェイク・ドキュメンタリーはドキュメンタリーに見える映像の中に嘘を絡ませていくものになる。またの名をモキュメンタリーとも呼ばれる。「ブレアウィッチ・プロジェクト」や「パラノーマル・アクティビティ」などホラー作品が海外では目立つ一方で、日本では最近、「山田孝之の東京都北区赤羽」や「その「おこだわり」私にもくれよ!!」などのホラーではないフェイク・ドキュメンタリーがある。そんな嘘をホントっぽくみせる映像から、アニメやマンガの実写化について考えていく。
『山田孝之の東京都北区赤羽』は何がすごいか
山田孝之の東京都北区赤羽もその「おこだわり」私にもくれよ!!も同じく同名の漫画を原案としたドラマであるが、マンガの実写化としてはかなり素晴らしい。一見、全く実写化していないのだ。山田孝之の東京都北区赤羽を例に見ていこう。
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このマンガは、このマンガの作者である清野とおるが実際に赤羽で会った面白い人々について書いている、ノンフィクションマンガである。この実写化に際して、主人公は山田孝之が演じた。
では、ドラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」のあらすじを少し見てみる。
2014年夏。俳優・山田孝之はとある映画撮影で「自身とその配役との区切りが付かなくなる」というスランプに陥ってしまう。そんな時彼は漫画『ウヒョッ!東京都北区赤羽』と出会い、これに感銘を受ける。そして山田は自身と付き合いのある映画監督・山下敦弘を呼び出し、「赤羽に行けば本当の自分に出会える気がする」。だから俺は赤羽へ行く。「赤羽での自分を撮影してほしい」と依頼。
参考元 wikipedia該当項目より
原案となったマンガにはもちろん山田孝之は登場しない。この実写化は東京都北区赤羽の面白いところは何か?ということを突き詰めて抽出し、山田孝之によって出力した作品だと言える。つまり、この漫画のそもそもの魅力は、赤羽に住む人々とのふれあいである。それを単に俳優を割り当てて演じさせるのでは虚構になってしまう。実際に変な人がいるからこそ面白いのだ。アリスの世界にハンプティーダンプティーがいるのは当然のことでありなにも驚かれない。
そこを捉え、監督の松江哲明と山下敦弘は、山田孝之がその変な人たちと交流するドラマに仕立て上げたのだ。
ウソの世界、芸能界
このドラマのすごい所はもう一箇所ある。このドラマには、単に人々と交流するだけでなく、それによって山田孝之自身が成長するストーリーが存在する。その際に綾野剛や大根仁、作者の清野とおるまで本人役で出演する。
芸能人はフィクションとノンフィクションの間の存在だ。え、氷室京介って水飲むの、、みたいなのが分かりやすい。もちろん人として存在しているからノンフィクションなのだが、映像で見る限りフィクションとも言える。
ドラマの北区赤羽では、芸能人というある種フィクションとノンフィクションの間の存在を用いて、視聴者はこれは本当の事なのでは?とより頭を悩ませることになる。けれども、この虚構か現実かわからないあたりがフェイク・ドキュメンタリーの最大の魅力であり、芸能人を使うことでさらにややこしくしているのが、この作品が最高な理由だ。
嘘=ウソのマンガと嘘=ホントの映像
嘘を描くのはフィクションの前提だ。だがら、嘘であるマンガを実写化する際には、それがまともに見えるように変換する必要がある。よく町中で似顔絵職人を見かけると、必ずデフォルメした似顔絵がある。すごい顎尖ってるけど似てるみたいなあれだ。けれども、それが本人に見えるのは彼ら彼女らが特徴をつかむ能力に長けているからだ。
だからこそ、マンガや小説、アニメを実写化する際には、その作品の核となるものは何なのか。ということを考えるべきだと思う。近年の映像技術により映像化不可能と呼ばれるものがいとも簡単に実写化されてきた。けれども、技術力にかまけて内容がおざなりになりすぎているのでは?と思う。
最後に実写化に公式に失敗したと言われるドラゴンボールについて貼って、この記事は終わりにする。
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