NetflixによってTVアニメは滅びるのか?
Netflixオリジナルコンテンツの勢いが止まらない。
その波は海外ドラマや映画に始まり、ついにアニメにも流れてきた。
この流れによってTVアニメは滅びるのか?
今、TVアニメと配信サービスによるアニメの違いはなんなのか?
Netflix作品のDEVILMAN CrybabyとA.I.C.Oを取り上げて、この辺を考えていく。
Devilman Crybaby
Netflixオリジナルコンテンツの特徴として、地上波で出来ないような内容を映像化することがある。この流れを組んでいるのがDevilman Crybabyだ。
デビルマンは1972年から73年までに連載された永井豪の漫画である。TVアニメ版は72年から73年に映像化された。ただこのTVアニメは子供向けに作られており、主にヒーロー物としての側面が強調されていた。
Netflix版のデビルマンは原作のストーリーを初めから最終話までを描いている。元々の永井豪の原作の持つバイオレンスな雰囲気を残しつつも、四畳半神話大系などを手がけた湯浅政明監督作品特有のコミカルな動きによって、不思議とポップな作品に仕上がっている。
A.I.C.O Incarnation
Netflixオリジナル作品の流れとして、著名なアニメ制作会社を使うことが挙げられる。
例えばこのA.I.C.Oは、鋼の錬金術師やエウレカセブンを手がけたアニメ制作会社BONES(ボンズ)の作品だ。
この作品は世界観を明らかに重視した作品で、マターと呼ばれる異形のものとの戦いと少女が自分自身のアイデンティティを取り戻すための物語を描いている。
交通事故にあった少女が仲間たちと成長を重ねながら、自身の身体を取り戻し、それが世界を救うことにもつながるという一昔前であればセカイ系と呼ばれがちな作品である。
ただ、ここにあるのは少女の自己回復の物語であり、恋愛模様はあまり全面に押し出されない。つまり、少年少女の恋愛ではなくSF近未来的な世界観とそこを舞台とした成長物語となっている。
このアニメに出資したNetflixの制作意図は、SF近未来の世界観を売りとしたアニメを制作したかったのではないか。つまり、海外市場が求めているものはドメスティックな男女の恋愛模様ではなく、SF近未来の世界観に基づくストーリーではないだろうか。
TVアニメとNetflixアニメの生き残り方
これまで2つのアニメを基にどんな狙いで作られたのか、勝手に考察したみた。
今までのTVアニメは円盤ビジネスと揶揄されてきたようにDVDの売上やグッズの売上によって成り立っていた。そのため、近年のTVアニメはキャラクター萌えを意識した内容が増えてきた。これはビジネスモデルを考えれば当然の結果だ。
ただ、アニメが海外で評価されているポイントは別の部分に存在する。それはストーリーだ。ここに大きくコミットしているのがNetflixアニメではないだろうか。
Netflixはサブスクリプションサービスであり、月額課金のビジネスモデルを形成している。そのため、グッズの売上等に依存しなくてもアニメ制作は実施できる。また、Netflixは海外市場をターゲットにしている。ここを意識し、海外に対して動画を売り出す際に明らかにこのストーリーや世界観を重視して作品を作らせている。前に上げたDEVILMANやA.I.C.Oは良い例だ。
つまりまとめると、
TVアニメ = グッズを売るためにキャラ立ちしたアニメ
Netflixアニメ = 世界観やストーリー重視のアニメ
となる。今後もこの傾向は加速していくのではないかと考えられる。
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