サブカル備忘録

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BIGMAMAのボーカルはなぜ王子なのか?

音楽を熱狂的に愛しているまちだねこです。

BIGMAMAというボーカル、ギター、ベース、ドラム、バイオリンからなる5人組ロックバンドがいます。通常のロックバンドとの違いは、やはりメンバーにバイオリンがいることです。しかし、今回はそういうバンドの形だけの話ではなく、BIGMAMAのライブやファンについて書いていきます。

 

The Vanishing Bride (初回限定盤)

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BIGMAMAのライブで歌うこと=「オタ芸」

彼らのライブの特徴は一体感を生み出すことです。

分かりやすいのは、"until the blouse is buttoned up"という曲におけるタオル上げです。この曲のイントロで、フロントマンの王子こと金井はタオルをあげるように観客に促します。フェスであれば、どんなアーティストのタオルでもいいからともかく挙げろと言います。これにより観客ほぼ全員がタオルを挙げるという同じ行為をさせることで観客に一体感を生み出します。フェスは一体感を楽しむ場所で体験の場所と言われるはるか昔からBIGMAMAが意識的にやってきたライブでの作法です。

 

もう一つ、BIGMAMAのライブにおける一体感を生み出す仕掛けを用意しています。それは、お客さんが歌うパートがあることですこれは何もBIGMAMAのライブに限らず、多くのライブで見られることです。例えば、アイドルで考えれば分かりやすいでしょう。アイドルにはヲタ芸があります。あのヲタ芸は、アイドルを応援する意味はもちろんのこと観客も一体となることで、アイドルと観客相互のメリットを生み出しています。アイドルの現場でファン同士が親密であるのは、このオタ芸によりライブという体験を共感しているからです。

これと同じことが、BIGMAMAのライブでは、歌うという行為を通じて起こっています。先に挙げた、"until the blouse is buttoned up"は、CDでの原曲と異なり、イントロを観客が歌うことで初めて完成する構成にライブVerではアレンジされています。つまり、客が歌うことでその曲が初めて完全な形になるのです。

君がまたブラウスのボタンを留めるまで

君がまたブラウスのボタンを留めるまで

 

 

BIGMAMAとファンで作る王国

ボーカルの金井は、王子と呼ばれています。先程まで書いてきたようにBIGMAMAは一体感を意識したライブづくりをしてきました。つまり、王子がいるということは、ファンは王子を取り囲む国民となります。

そんな構図でBIGMAMAは、先のフェスでのタオル上げも含め、音楽業界で少しずつ自分たちの領土を広げて来ました。BIGMAMAのメインファン層はおそらく今、20代だろう。ただ、今の10代やさらに上の世代まで届くような可能性を、クラシックを取り入れたりさまざまな工夫を行ってきた彼らは持っていると思います。

彼らは2017年、武道館を行ます。これから新しいアルバムや武道館を通じて、どのようにこの王国の領土を拡張していくのか、注目していきたい。

Fabula Fibula(初回限定盤)

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