サブカル備忘録

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なぜ校長先生の話は眠くなるのか?

こんにちは、まちだねこです。

今回は、眠くなることについて、眠くなることでおなじみのフランス映画を題材に、なぜ眠くなるのか?を考えます。

 

『ハッピーエンド』あらすじ

舞台はフランス北部の町、建設会社を経営し、大きな邸宅を構えるロラン家に生まれたエヴは、両親の離婚をきっかけに家族と距離を置いていた。だが、母親が倒れたことをきっかけに、祖父ジョルジュのいるフランス北部の町カレーにある屋敷に呼び出される。やがて、家族3世代の秘密が少しずつ明らかになっていく。

鬱映画の巨匠と言われるミヒャエル・ハネケ監督の最新作で、カンヌ国際映画祭コンペティション部門出典作品。

 

 

フランス映画は眠くなる

フランス映画はよく眠くなると言われている。そもそも、眠くなるという現象は、本人が疲れているとかでない限り、その場の退屈さに原因が絞られる。ただ、今回取り上げる映画に限らず、フランス映画はカンヌ映画祭などで受賞するなど映画界では評価されている。このギャップはなぜ生じるのか?

それは、カンヌで評価されるのが、映画の表現技術という部分の話で、一般的には全体の印象が面白い面白くないの評価になるからである。

 

『ハッピーエンド』も全体としては起伏が少ない。ただ、この映画には、部分で表現手法としてインパクトのあるシーンが存在する。映画が始まった瞬間、主人公のエヴがハムスターに毒を与えて弱っている場面を撮影しているスマホ画面が縦型で映し出される。そもそも、映画館のスクリーンは横なのに、縦型の映像を上映することの違和感に観客は目を奪われる。

また、スマホの動画録画という独特の距離感が映画に不思議な感じを与えている。つまり、エヴが撮影しているiPhoneの画面を僕らが映画のスクリーンで見るという流れになる。ここにはiPhoneの画面と映画のスクリーンという二つの画面が存在する。2つのスクリーンを挟むことで、エヴの冷めた目線を表現している。人は動画を撮る時、何を被写体にするかだけでなく、写真と異なりどう撮るかを気にする。ここが映画の本質であり、それをスマホの画面そのものを見せることで伝えようとしたのだとすれば、確かに監督は天才と言える。より冷めた目線でエヴの視線を体感でさせようとしている。

 

スキルがすごいというのと、全体として面白いというのはまた別の問題である。記事のタイトルにした、校長先生もなにか1つ秀でたスキルがあり、校長をやっているだけで、全体としては面白くない場合が多いからこそ眠くなるのではないだろうか。